いがらむ

アウトレイジのいがらむのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
4.7
何がこんなに違うのか…冒頭の匿名的なスーツの男たちの立ち姿を横切るトラックショット-その過程で主人公である大友もあっさり横切る-から、黒塗りのベンツと日差しの中、男たちが立ちすくむロングショット、このわずか二画面で心臓が鷲掴みにされるような映画であることが分かる。その後も黒いスーツの男たちが能う限りの緊張感を身に纏いながら恐ろしいほど緊迫した画面にふさわしい佇まいでこの世界を生きる。なかでも椎名桔平の凄まじさ。声、表情、動き、歴代の日本俳優の仕事でもトップクラスの輝きを放っている。急に顔を正面に捉えるショットの挟み方も完璧だし、ヒップホップのようでさえあるセリフの掛け合いとタイミングも見事だ。最後のショットがワンカットで締め括られるところも震える。ちなみに照明の設計も天才的(闇と人物の表情)。素晴らしい映画は数あれど、かくも一瞬たりとも緊迫感が途切れない作品などあるのだろうか。
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