【悪の構造】
さすが北野武らしく人を食ったブラックジョークのセンスが面白い、現代のやくざ戦争を図式的に描いた作品。この監督らしく些か構造主義的なアプローチも垣間見れる。いわゆる「情け」がとことん無い冷酷無慈悲なやくざ映画。
ちょっとばかし高橋源一郎の小説?みたいな小洒落た文体とリズム感で組織vs組織の虚無的なやり取り、報復、殺戮行為などが無感情で一貫してクールに綴られる。あまりに馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう『仁義なき戦い』のパロディ版。
私はこの監督の『首』は観てないが、やはりふざけたコント集みたいな出来だったら是非とも拝見したい作品。この世の諸悪はすべて小日向文世にアリ!みたいな酷いオチも含めて実に痛快。スタイリッシュな娯楽巨編である。☺️