ユリアン

グラディエーターのユリアンのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
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ローマ帝国における剣奴の悲哀、政争の悲惨を圧巻のスケールで描いてくれておりました…主題歌のNow we are freeのイントロが入ってきた時の感激たるや。
今我々が当たり前に持っている人権意識というのは、長い歴史と屍を積み重ねてやっと先人たちが築いてくれたもので、人類とは本来とても血生臭い生き物である。元大将軍が政争に巻き込まれて奴隷に落ち、数々の戦いを死なずに生き続けてやっと敵(悪帝)を倒すというエピソードは、まあ現実はそんな簡単ではないわけよ!という主張の裏返しに見えた。
ところでその悪帝の、一個人としての孤独がずっと最後まで気になってしまった。愛する人の誰からも愛されず、死んでもなお誰も遺体に見向きもしない、そんなコモドゥスという人の苦しみが最後の後味としては残ってしまった。主人公マキシマスは、家族を殺され確かに死ぬほど苦労をしたが、確かに多くの人から愛されていた。ローマ帝国をはじめ、権力闘争に巻き込まれる皇帝一族は、身内すらも疑心暗鬼の眼差しで見なければならないという業を背負っていて、それが実はどんな裕福にも代えられない、心の貧しさではないかなと、再度考えさせられるのであった…。
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