メッチ

グラディエーターのメッチのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
4.4
王道な復讐ものでもありながら、各登場キャラクターの視点でみても楽しめる良作。

冒頭からリドリー・スコット監督のみせ方が上手いこと。みている人々を置いてきぼりにはさせない優しさみたいなものがあって、155分ある本作に疲れを感じさせません。
本作はかなり優しい印象がありますね。リドリー・スコット監督作品を他の人に勧めるなら本作でしょう。何回みても飽きさせない。
ちなみに私が好きなリドリー・スコット監督作品は、『ブレード・ランナー』と、ズレた視点で気に入っている『ブラック・レイン』。

そんなことより、話しを戻しまして(笑)
なぜ何回みても飽きないのか?恐らく、みせ方が丁寧なため、主人公も悪役も同時にみられるからでしょう。

例えば、本作が始まって早々にゲルマニアとの戦いで奇襲隊に混ざり常に前線に立って戦うラッセル・クローが演じるマクシムス。
それに対して、安全なところで次期王を確信して優雅にしているホアーキン・フェニックス演じるルキウス。
この対比のみせ方は、今後この2人が対立していくのだろうと予測も出来るし、対立したところで民衆はどちらを支持するかをみている我々に分かりやすいように説明している。

そしてお話が進むと、濡れ衣を被せられて復讐を誓うマクシムスの前半のパートから、「民衆から支持されていないな」と思わせられるパートは、ルキウスが可哀想に思えてしまうくらい悲壮感たっぷりに彼が描かれてゆく。それはそれで飽きさせない作りがされているように思えます。
ただ、ホアーキン・フェニックスの演技がいいのか?みせ方が上手いのか?恐らくどちらもあるためだと思いますが、ルキウスがただの悪い皇帝というようにはみえない。

なので、本作はマクシムスの王道な復讐ものとしても面白いですが、回数を重ねるごとにキャラクターのみえ方も変わるので、映画を見慣れている人もそうでない人にも勧められる作品のように思えます。
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