Eyesworth

グラディエーターのEyesworthのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
4.7
【薫習と交錯】

リドリー・スコット監督×ラッセル・クロウ×ホアキン・フェニックスの壮大なスペクタクル歴史ロマン。第73回アカデミー作品賞を受賞。

〈あらすじ〉
西暦180年。大ローマ帝国皇帝に愛された将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、皇帝マルクス・アウレリウス暗殺の濡れ衣を着せられ反逆罪に問われる。恨みを持つ新皇帝コモドゥス(ホアキン・フェニックス)によって妻子を殺され、悲しみのうちに逃げ延びた彼は、奴隷商人に拾われて死ぬまで戦う剣闘士としてコロシアムに出場する…

〈所感〉
題材的にキューブリックの『スパルタカス』と似たストーリーで、主人公は同じく剣闘士(グラディエーター)として闘うわけだが、スパルタカスはあまりに超人的すぎてあまり感情移入できなかったが、こちらの将軍マキシマスは強さと人間味を兼ね備えており、そんな彼が奴隷として苦境に追い込まれ、そこで真価を発揮するという筋立てにドラクエVを初めてプレイした時のような感動を覚えた。私の好きな言葉に「盤根錯節に遇いて利器を知る」がある。人間は困難に出会って初めてその人の力量、価値がわかるというものだ。マキシマスは亡きマルクス・アウレリウスという哲人を師として友として仰ぎ、彼から色々なものを受け継いでいる。そのため元より人間として優れていたが、この逆境にあって初めて本来の強さを開花させた。そしてマキシマスはマルクス・アウレリウスの実子コモドゥスと再び相対する。コモドゥスとマキシマスはナルトとサスケのようなコインの表と裏であり、どちらもそうなり得たはずの姿であろう。そんな道を違えた2人の戦闘は胸に燃えるものがあった。やはりリドリー・スコットに近接戦闘を撮らせたら彼の右に出るものはいないだろう。迫力満点で面目躍如たるものがあった。そしてBGMが最近何度も見たパイレーツ・オブ・カリビアンを彷彿とさせられて滾る。それにしてもホアキン・フェニックスのペーソスの演技は本当に唯一無二で素晴らしいものだと思う。
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