悪役を演じたマルコム・マクダウェルが強烈で主役二人を完全に食っている。
ただ「機械じかけのオレンジ」アレックス役のイメージを拭いきれていない時期で、キャスティングもそれを期待してだと思うが、本人はインタビューで後年「税金を払うために出た。映画はまったくのゴミだ」と言ったそうだ。
しかし彼の怪演が無ければもっとゴミになっていたのは確かだろう。
全体に緊張感があるのだが、ラスト付近の「銃声で雪崩」は大失敗。そんな都合よく的確な場所に雪崩を起こせるわけが無い。一気にファンタジーになってしまい格が数段下がった。
卐パンツを得意そうに見せる場面が笑えるのだが、これはマルコムのアイディア。
撮影初日がこのケイ・レンツとのシーンで、雰囲気を明るくする為にジョークではいてきた卐パンツを監督が気に入ってそのまま使ったそうだ。
緊張感はあるものの、凡作の域を出ないストーリーだがマルコムの怪演とドゥークー伯爵の丸焼きを見るだけでも価値はある作品。