タマル

ディフェンドー 闇の仕事人のタマルのレビュー・感想・評価

1.5
どいつもこいつも図式的すぎる。あの悪徳刑事はなぜあんなにボコボコにされて大した報復をしない?どこにあの娼婦(?)がアーサーに惚れる要素あった?それにアーサーに精神障害があるって設定、精神障害を都合よく使いすぎじゃないか?血の通った人間とは思えない便宜的な行動ばかりだ。
ラストもすごく違和感がある。あの終わり方は「正義と思い定めたことが正義」とか「真っ当と思われていることが真っ当」な、とても浅い終わり方だと思う。『キック・アス』はこの映画と比べれば、ポップで、明るくて、楽しく見られる映画だけど、「正義とは何か」とか「ヒーローとは何か」についてもっと真剣に論じていたよ。
『フォレスト・ガンプ』のときも思ったけど、考えなしなだけのやつを「無垢」として描くのやめようや。私たちは皆、人生に真剣に悩んでんだよ。何を選び、何を捨てるかについて悩んでるんだ。「無垢」が深く考えもせず大成功!て喜劇にしたいならそれはそれで結構だが、そんなやつが他人に訓たれて、あまつさえ皆んながそれに絆されて……なんて話を本気で信じられるかよ。本心から感動的だなんてとても思えない。考えなしの行動は「無垢」や「純真」のあらわれなんかじゃなくて、一直線の単なるプロセスに過ぎないんだ。そこに選択が欠けているなら、それに伴う結果から感動を得るなんてできないんだよ。もういい加減、聖愚者を「無垢」とか「純真」とか「真剣」なんて言葉で美化するのはやめようや。
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