イチロヲ

ディフェンドー 闇の仕事人のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
親の愛情を受けずに成長した精神障害者の中年男性が、謎の仕置人となり売春斡旋組織に肉薄していく。自作のダークヒーロー像に自閉する男の人生模様を描いている、ヒューマン・ドラマ。ポップなコメディではなく、ダウナーなドラマ路線。

「ヒーローごっこを実践してしまう人間」と「劣等感を抱えている精神障害者」の表裏性を題材に取っている作品。精神科医の診療を受けるところから物語が始まり、過去にフラッシュバックしながら、主人公の情報を開示していく作風。

主人公はポーカーフェイスでヒーローを気取りながら、強者に対して制裁を与えていく。しかし、中身は普通のオッサンのため、すぐに反撃を受けてしまう。「キチガイじみたヒーローに襲われる」という悪党視点が笑える。

ドラマ面では、若い娼婦がヒロイン(=母親の代替)となり、特殊な事情をもつ者同士の交流劇が繰り広げられる。一般庶民を扇動するほどのエネルギーが感じられないため、ラスト近辺の強引な展開にイマイチ乗れないが、独特な雰囲気作りが巧い。
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