TakashiIbayashi

ディフェンドー 闇の仕事人のTakashiIbayashiのレビュー・感想・評価

3.0
『キック・アス』、『スーパー!』など近年、豊作が続く"弱小スーパーヒーローもの”の逸品。
『キック・アス』のように弾けることもなく、『スーパー!』のような振り切った狂気もない。しかし、この作品には比較に挙げた前2作にはない良さがある。それは地味であること。いい意味で生活臭が漂っているのだ。主人公のディフェンドーことアーサー・ポピントンは軽度の知的障害を持ちながらも、地元の公共事業の工事現場で日銭を稼ぎ、空いている時間は自警活動に勤しんでいる。彼の地味な装備と地道な活動を丁寧に描写していくからこそ、主人公がただの変人ではなく、スーパーヒーローに憧れることでしか報われない、社会福祉から疎外された人に見えてくる。彼を見守る友人やカウンセリングする医者など、周囲の優しい人々の視線はそのまま、この映画の制作者がディフェンドーに向ける眼差しのように思える。ただ、あまりに描写が丁寧で穏やかな語り口のため、犯罪と対等するときの緊張感が同系統の『キック・アス』や『スーパー!』と比べると足りない。が、まぁディフェンドーの愛すべきキャラクターを味わう分には、そんな点は些末なことだろう。
弱小ヒーローものに愛着のある人には何かしら心に残るものがある愛すべき小品。
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