鹿shika

アングスト/不安の鹿shikaのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.6
実話であるオーストラリアで起こった殺人鬼ヴェルナー・クニーセクによる、一家殺害事件を基に描かれ、日本やオーストラリア含んだ数々の国で配給禁止、上映打ち切りとなった問題作。

まず公開されたのが1983年なのだが、殺人鬼の心理や、描写がリアルすぎたことから、すぐ上映が中止になった。
また配給会社が逃亡したり、発売も禁止になったりしたらしい。
それが2020年にまさかのリバイバル上映!!だからこそカルト的な期待値が高かったのだよ。

やっと作品に時代が追いついた感、、?
いや、他の方のレビューを見て思う、、時代が追い越してしまった感。
確かに自分的にも「こんなもんか」と思ってしまうなあ
というか『ハウスオブジャックビルド』とかの公開前だったら、みんなも認めていたかもしれないな!世に出す時代が遅すぎー!!

他の方のレビュー読んでて、自分の期待値が低かったせいか、自分的には面白かった。
殺人の一部始終を、どこかから”目撃”しているような感じ。
冒頭の彼が走っているシーン、同じように激しく揺れるカメラ、
固定カメラで撮ったような、部屋の真上や隅っこからの画角、
そして殺人のシーンは、まるで殺人鬼の目線になっているような撮り方。
さらに、ナレーターや他の声ではなく、
終始 殺人鬼の言葉でしか語られない。
殺人鬼の狂った考え方のモノローグから、殺人シーンでも彼の思いや感情が、彼目線でしか語られないのが、また不気味だった。

エグいシーンはないが、殺人鬼になったつもりにさせられる、また殺人シーンを見学しているような雰囲気に感じられるようなところが、80年代で上映禁止になった理由なのかな?

でも一番恐怖に感じたのは、犯行現場や事後の処理などのとき、彼のそばを離れることなく、一緒に車にまで乗り込んでくるところ。
しかし、彼が犬に対して愛おしく撫でることもなく、家族同様に殴ったり暴言を吐いたりするシーン、
などなど 犬に対して興味を示す描写が1秒もなかったことだ。

実際の事件を調べてみると、かっていたのは猫で その猫も殺されたらしい。
だからこそ、この映画において犬の存在が引っかかりすぎる。
どういう意図だったんだろうか、、
鹿shika

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