Kaikot

アングスト/不安のKaikotのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.9
いつか見よう見ようと思いつつ、先延ばしにしていた映画だったが遂に見た。

撮影と音の演出がこんなにマッチした作品は珍しいのではないか。家庭用ビデオ映像のような細かいフリッカー、ガクンと若干揺れるカメラ、しっかりと録音された状況音と効果音、時に駆け出し過ぎる音楽。ミスマッチで不安が募る、しかし主演俳優の凄まじいような確かな演技力により画面が引き締まり安っぽく見えない。あっちに行ったりこっちでチャカチャカしたり、頭を掻きむしりたくなるような落ち着かなさ。なんとアンバランスなギリギリのバランスを保った映画だろうか。アングスト不安。タイトル通りだ。

かなり構えて見たせいか、内容は実はあまりショッキングではなかった。そして調べてみたところ、実際の事件ではこの映画よりも遥かに常軌を逸した殺戮が行われていたと知り驚愕した。この映画が公開された時はおぞましい内容に上映禁止になったりと波乱があったそうだが、監督としてはかなり観客への配慮をした結果の作品ではないだろうか。映画として優れた作品だと思う。
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