ゴト

アングスト/不安のゴトのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.7
まあ殺人鬼が出所した後、再犯で捕まるまでを描いているんだから、こうなるよね。

連続殺人犯が主人公の話は、なぜそうなるに至ったのかが面白いと思っていて、逆に人を殺すこと自体に自分はあまり興味がないので、こういう感想になってしまうのかもしれない。

ただ、そうは言っても加害者の視点と被害者の視点が交互に映し出される犯行シーンは鬼気迫るものがあって良かったし、死体を車に乗せるために広い庭を何度も行き来する主人公を上空から俯瞰で捉えたショットも、これだけの凶行に及んだ男の矮小さみたいなもの感じさせ、激しい内容と上手くバランスをとってる感じがして印象に残った。

それにしても、犯行が行き当たりばったりすぎる。一回冷静になって、もう少し考えてから次の行動に移ってくれと思うシーンが結構あった。そういう意味では、タイトルにある「不安」を感じさせる内容なんだけど危なっかしくて、モノローグでは病的なサディストみたいに言われてたけど、実はちょっとMっ気もあるんじゃないかと思いたくなった。

観客に寄り添う姿勢が見られなかったのもこういう内容の映画なら逆に良かったと思うし、犯行シーンでやりすぎてコメディっぽくなることもなかったのでそれも良かった。

地味に印象に残ってるのがカフェのシーン。目の前の女の子二人を殺す妄想をしながら食うフランクフルトがあんなにも美味そうに見えるとは。
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