lingmudayan

稲妻のlingmudayanのレビュー・感想・評価

稲妻(1952年製作の映画)
4.0
高峰秀子が自分の情けない家族に対して示す軽蔑の眼差し、それを動作で示しているのが葡萄の皮や噛みついた小沢栄の血が混じった唾を吐き捨てる場面だ。

ラストで高峰は母親に対し「生んでくれなければ良かった」という台詞を吐き、2人の関係は決定的な破綻に近づく。だがそこで空に現れた稲妻を見て高峰は母親への思いやりを取り戻す。この緊張から弛緩への流れは理屈ではない映画的なものだと思う。成瀬巳喜男は『驟雨』でも決定的な破綻を迎えようとする夫婦を紙風船によって仲直りさせていた。
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