順風ライフseason4

稲妻の順風ライフseason4のレビュー・感想・評価

稲妻(1952年製作の映画)
3.7
高峰秀子のブドウの食べ方カッコ良すぎるからそこ切り抜いてだれかTikTokにあげたらいいと思う。
だってしかたないじゃんつって周りに尽くしてナメられる女が主人公ではなく、主人公の母親。「おかあちゃんがずるずるべったりだから周りのものがみんなずるずるべったりだらしなくなるのよ」「だってお前、あたしが今日までどんなに苦労してお前たちを育ててきたか、考えてもごらんない」「育ててもらわなくてもよかったわ...産んでもらわなくたって...」とうとう高峰秀子は言ってしまう。流される系女は毒親になり得る。だめだめな家族を見切って、ひとり家を出ていく主人公。母親に言ってはいけないことを言ってしまったあとから和解の流れ、母娘ふたりのショット。親子愛というより、こういう流される系不幸女のことが完全には嫌いになれないんだよな。『フォレスト・ガンプ』の幼馴染の女みたいに近くにいたらイラつくだろうけど、嫌いにはなれない。時代に翻弄されながらその中で自分の思う最善を選びその度に傷ついて生きた女たち。この母親も毒親だけど、時代に逆らって自立を目指す高峰秀子は時代に流されて不幸になった母親を見捨てられない。離れて、見捨てないという選択。もっとも『フォレスト・ガンプ』の女は父親からの被性的虐待児であり、反戦やヒッピー、リベラルの波に翻弄され傷つく彼女を受け止める保守のアメリカ人を賞賛する映画だけど、こちらはリベラルな娘が保守的な女性像に翻弄された母親を受け止める。隣人の兄妹が高峰秀子にとって希望になるからラストも暗くない。これが林芙美子×成瀬巳喜男×高峰秀子、そして猫......