キヲシ

稲妻のキヲシのレビュー・感想・評価

稲妻(1952年製作の映画)
4.0
窓が大きく開け放たれた二階の貸間に隣家のピアノの音が聞こえ、実家を飛び出して来た高峰秀子が目をやると庭先の洗濯物が見える…再び貸間に戻り母親浦辺粂子と互いをなじり合う。この辺りだけ記憶に残り、作品名がわからなかったのだが、窓の彼方に特殊効果っぽいけど見事な稲妻!が走る。
監督成瀬巳喜男の「やるせない」市井を描く作品。下着姿でうちわを振る村田知栄子、亡き夫の愛人宅(小さな太鼓橋を渡った先にある)でお金を渡す三浦光子、南方帰りの無職の兄植村健二郎。嫁にと迫りスクーターで現れる如才なくも厚かましい小沢栄太郎をうまく追い返した後で?舌を出す高峰の、ビールの王冠をお金と間違って拾い落胆する浦辺の表情が実に素晴らしいとしかいえない。「だってしょうがない」けど生きていくのだ。ただ、ちびはどうしたのかなあ…。
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