歌うしらみがおりました

アンチェインの歌うしらみがおりましたのレビュー・感想・評価

アンチェイン(2001年製作の映画)
3.5
ワイドショーの再現VTRみたいな安いドラマパートや、ラストの試合に挿入されるリングサイドで暴れる梶の映像、余計なスローモーションと一言が被さる終わり方ははいかがなものかと思う。作り手さん達が被写体への思い入れ含め自分に酔いすぎているような気がしたのもなんか気にくわなかった。
が、お手本のような負け犬人生に否が応でも心は同期してしまう。

どれだけ他人に迷惑をかけまくっても、まるで"青春"の二文字で良き思い出にされてしまうような世界の不健全さ。だけれども、そうでもしないと生けていかれないのが人生なのかもしれない。

梶と西林は一先ずの青春を降りた。しかし、ガルーダ・テツは青春のど真ん中でもがき続けていた。映画を通して、なんとしてでも勝ちたい相手に勝てない、それでも取り憑かれたようにリングに上がり続けるガルーダ・テツに一番心動かされる。