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アンチェインのsyuriのレビュー・感想・評価

アンチェイン(2001年製作の映画)
3.8
もっと自由になりたいと少年は叫び、そう叫んでいる場所がすでに檻の中だったという事に気づかずに、自分の足で歩いているように思いこみ、実は歩かされていて、気づいたらどうしようもなく強固に見える鎖に縛られている。 レイチャールズ

戦績7戦6敗1引き分け。7戦目で眼球の異常を訴え、滑車神経麻痺と診断され引退負け続けた男の再生物語

不器用で泥臭くて結構。それでしか生きられん人間の物語!!

うん!なかなかの佳作。まるでモキュメンタリーのように上手く描いている作品 阪本さん譲りの演出力の強い激しいパワーと卓越した良い映像技術を持って作ったドキュメンタリー

監督は覚醒剤で捕まったり藤原竜也を芝居で追い込んだり現代にはあまりいない無頼派演出家の豊田利晃さん。昔で言う相米慎二や今平さんかな。だからこその強い意識のある演出ができるんかなー

アンチェイン梶という一級の障害者手帳を持つキワキワに尖った感情を持つ人間とそれを受け止める友人達の物語。ボクサー登場人物はやんちゃで正直な若者。それでいて揃いも揃って皆弱い…作品の中誰ひとり勝てる人間はいなく映画は常に登場人物がノックアウトされている大阪の西成を舞台に若き青春を散らしていった男の物語

4人の格闘家達の関係性がこの作品の軸になっているが、友情とか熱い思いみたいな「お涙頂戴!」的なありがちな演出が一切なく只ひたすら負け続け打たれそれでもしがみついていくという姿が心を打つ。

負け続け、打ちのめされ、それの中もがき苦しみ力強く生きる彼らの熱い想いや姿は自分に置き換える部分もありとても共感できた。負け続けても人は生きていく!人生において勝つという意味を根底から考え直すことができる良作だと思いました。
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