爆裂BOX

怪奇!呪いの生体実験の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

怪奇!呪いの生体実験(1967年製作の映画)
3.8
ヒトラーの指令を受けて、優秀なナチス党員12名を冷凍保存していたノルベク博士。しかし解凍した彼らは後遺症で狂人になっていた。生きた脳で実験したがる博士の為、ジョシュカールは遊びに来ていた博士の姪ジーンの友人エルサを誘拐する…というストーリー。
日本では何度かTV放送され、その衝撃のラストシーンが多くの子供達にトラウマを残したと言われる怪奇映画の秀作です。
誘拐されたエルサは生首だけの状態で生かされ、急にいなくなったエルサを案じ、その行方を探すジーンにも危機が迫るという内容です。
冒頭の狂人と化した解凍したナチス党員たちを引き連れた行進シーンから異様な雰囲気漂っています。その後の実験の成果を視察に来た将軍たちに、一室に閉じ込めた狂人たちの様子や症状を説明していく所は狂人博覧会という感じでインパクトありました。壁からぶら下げられている腕たちというインテリアもシュールさがあります。
博士の姪ジーンが消えた友人エルサを探す姿が主に描かれていきますが、真実に気付くことを恐れた将軍たちが彼女を事故に見せかけて殺そうと企む所は割とサスペンスフルに描かれていたと思います。
ノルベク博士はマッドサイエンティストではあるけど、カールから狂人と化した弟がエルサを殺したと聞かされて「犯罪は警察に言わねば」といったり、根っからの悪人という訳ではないキャラ造形が面白いですね。助手のカールは実験に使うパーツを町に呼んだ家族に殺人行わせて調達してたり、実験に使う為に独断でエルサを手にかけてそれを博士の弟の仕業と言ったりとかなり悪人という感じだけど、生首になったエルサの表情に怯えて追い詰められる人間臭さを感じさせる所も良いですね。党への忠誠心は本物のようだったけどその末路は哀れではありますが因果応報でもありますね。視察に来た将軍と博士が真の悪人という感じでした。
実験に使われ生首状態で生かされる哀れなエルサは、生前は薄幸そうな美人だったのが生首になってから老婆のような表情になる所はメイクもあるんだろうけど強烈に印象に残りました。ノルベク博士やカールを見る時の憎悪に満ちた表情も印象的。その状態になってもテレパシーを使ってジーンに助けを求めたり危機を知らせて助けようとする友達思いな所が、ジーンも友達思いで善人なだけにより事態の残酷さを際立たせます。エルサのテレパシーに感応して閉じ込められた狂人たちの様子が変化していく所も良いですね。
アメリカからやってきて実験に協力するロバーツ博士は最初まともな人かと思ったら、エルサを見て「素晴らしい成果ですね!」と顔を輝かせて言う所で「こいつもまともじゃないか…」と思いました。言ってる事もころころ変わるし、ジーンに真実告げる所でも「僕も間違いを犯したが僕だけの責任じゃない」と自分だけ正当化というか救われようとするようなこと言ったり一番ダメな奴という印象。
真実が明らかになり、全てが破綻していくクライマックスは盛り上がりました。
ジーンに向ってエルサが「私を埋めて」と懇願するラストは残酷で後味悪くて今見ても強烈ですね。
多くの子供達がトラウマになったのも頷けるマジキチ怪奇映画でした。