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名探偵ホームズ/黒馬車の影のHKのレビュー・感想・評価

3.3
『暗闇にベルが鳴る』(74)のド気色悪い主観映像(キャメラは同じくレッジ・モリス)を導入したホームズもののパスティーシュで、同時代であることから割と一緒にされる切り裂きジャックものでもある。真相は割とポピュラーなものだが、プラマーのホームズ、メイソンのワトソンというコンビもいいし(ふたりの親密さが高いレヴェルの演技で表現される)、ジュヌヴィエーヴ・ヴィジョルドやドナルド・サザーランド、デヴィッド・ヘミングスといった個性派役者たちによる不気味な存在感も手伝ったゴシックな雰囲気が満点で内容なんか二の次。というか、『デッド・オブ・ナイト』(74)同様、ジャンルを見せたいというよりも言いたいことがほかにあるのだ(でもこれはそれを台詞化して最後にホームズが言ってしまうところがマイナス)。これを観るとクラークという作家が確かな職人技の持ち主であることが充分過ぎるほど分かります。『フロム・ヘル』(01)の製作者たちはちゃんと観たのだろうか?
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