しあつん

七つの顔の女のしあつんのレビュー・感想・評価

七つの顔の女(1969年製作の映画)
3.5
5人のスパイが繊維会社の大金を狙って試行錯誤するコメディ。

緒形拳さんと岩下志麻さんが子供を殺す残忍な夫婦役を演じていた『鬼畜』を観たあとだったので、コミカルなやりとりがジワジワきたし、変顔する緒形拳さんが素敵だった。

岩下志麻さんの七変化、和装も洋装も、金髪も黒髪も、前髪ありも無しも、化粧薄いのも濃いのもキメてくるという。同じなのは声だけという。

とくに色目を使って消防車を出動させるために「私と消防車、お似合いでしょ?」と言い出したシーンは笑った。(当時の消防車ってあんな人力車みたいな、オモチャみたいな風体だったのか…と思うと驚き。)

ただ、メンバー5人が全員かなり抜けてるせいで、なんでそんな馬鹿げたミスをするんだろう?と、スパイ経験皆無の私でさえ不思議に思ってしまい、スパイ団としての魅力は薄かった。

しかも、岩下志麻さん演じる「お嬢」は、結局悪女ではなくて、孤児院育ちの善人だったから少し残念だし、盗んだ金を孤児院に寄付するってさすがにそれはどうなのか…とか大真面目に考えてしまった。作品としてはもっと吹っ切れてたほうが良かったのかな。
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