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ドラゴン捜査網のcatmanのレビュー・感想・評価

ドラゴン捜査網(1967年製作の映画)
4.0
1967年公開。不気味で仰々しいポスターデザインとは裏腹に、馬鹿馬鹿しくてユルユルな脱力系スパイアドベンチャー・Bムービー。とにかく主人公のオジサンが魅力に乏しい。売りにしているキャスティングのクリストファー・リーら大物俳優の出演シーンはほんの僅かで完全な肩透かし。クラウス・キンスキーは例の調子で不穏なキャラクターを演じてはいるものの、扱いが半端なので持ち味が活かされていない。
じゃあこの映画の何が良いのかって言うと、全編に渡る香港ロケ。これが本作最大の魅力。西洋×東洋な当時の香港の風景を鮮やかに映し出す撮影が凄く良い。リマスタリング万歳。クラシカルなオーケストラアレンジにオリエンタルな旋律が素敵なタイトル曲と、大小の船が行き交う港の美しい映像との組み合わせによるオープニングは特に素晴らしい。ここがピークとも言えるけど。あとこの時代の割にはアジア人の描き方が全般的にフラットな感じがして好感度高め。何の脈略も無くナイトクラブで日本語の歌をまるまる一曲披露する着物姿の伊東ゆかりがやけにフィーチャーされていたりもする。
で自分の一番のお目当てはヒロインのマーガレット・リー。ワケありナイトクラブお抱えのワケありシンガーをセクシィにSっ気を交えて演じつつメロウな歌声まで披露してくれていて個人的には概ね満足。マリア・ペルシーの熟した艶っぽさも魅力的。思い切って海外版Blu-rayを購入した甲斐はあった。頭を空にすれば楽しめるDon’t think. Feeelな93分。
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