こぅ

危険な女のこぅのレビュー・感想・評価

危険な女(1946年製作の映画)
3.7
10/'21

ドイツのジョン・ブラーム監督による、
【(異色)ヒューマン・サスペンス】。

鑑賞すれば 深い意味で 納得する巧い邦題だ。

OPから軽快な劇伴〜ジョン(ブライアン・エイハーン)と
ナンシー(ラレイン・デイ)の結婚式当日、書斎に招かれざる
客、医師ブレアが訪ねてナンシーとの結婚を断念しろとの勢い。

そこから【入れ子式の回想】でナンシーの過去が紡がれる。
それは幼少期にも及び、ある理不尽な出来事が◯◯ウマに
なっている事が判明、、
観る者をグイグイ引き込む脚本構成の吸引力。

ナンシー役、【海外特派員】(未見)のラレイン・デイ
(29)が美女で魅力的である為、彼女を信じたいし、
守りたい、時には女の涙を武器に迫られたら男達は、許して
しまうのも納得、説得力がある。

彼女のキャラは表面上、所謂ファムファタには違いないが、
今迄一般的ファムファタとは【似て非なる二次的タイプ】と
言える。
いや、厳密には二次的にもファムファタという呼称は可哀想だ。

このキャラが決定的だが、殺人犯捜し不要、寧ろ被害者的に
描いたのが異色だと感じたヒューマン・サスペンスだ。

欲も悪気も意図的では無く、嘘も全て身を守る為なのだ。
【子供のまま大人になった】というのが一番近いかも⁉︎

そんな天真爛漫ナンシーをラレインは見事に体現してくれた。

撮影は、長回しと歯切れ良い切り返しのカットの使い分け、
ロバミとラレインパートの陰影、特に顔への光の当て方とかが
秀逸。
演出は、ロバミの階段駆け上がり〜銃声のタイミング完璧
長回しと窓際越し長回しで昼夜を表現したカットが良かった。

脚本は、中盤以降二転三転というのか、安易な展開を外し
ながらもまた戻ってラストに着地させて行くが、過程が強引
(雑)なのは気に掛かった。


ラストは、あんな形で、、
スカッとタイプでは無く、ジョンのナンシー愛への【葛藤】
に委ねられる、、。


*スリーピング・アイのロバート・ミッちゃんはいつもの
飄々とした調子だった。
こぅ

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