カルダモン

時の支配者のカルダモンのレビュー・感想・評価

時の支配者(1982年製作の映画)
4.3
ルネ・ラルー×メビウスという強烈なダブルネーム。イマジネーションの極地を期待して観たけど軽く期待を超えていた。長らく観たいと思っていた作品がシレッと配信されるU-NEXT、なかなか辞めどきが難しい。

わけのわからない惑星で父親を失い、ひとり生き残った少年。父親が残した無線機から時折聞こえる声を道しるべに謎の惑星を歩く。無線機の向こう側には宇宙船で航海中の船員たち。顔が見えない声だけのやり取りが愉快。声の主は艦長のジャファールと同乗者たち。革命で故郷を追われたマトン王子とベル王女や、老人のシルバード。少年目線では無線機が声色を変えているだけのロボットのように見えてる。

少年が目の当たりにするのは変態的としか言いようのない世界。不気味な植物が生い茂り、奇天烈な生物が跋扈する悪夢のような光景。こんな生態系の世界1秒だっていたくない。巨大なハスの花から妖精が生まれる描写もなんかキモい、けどイイ。楳図かずおの漫画に出てきそうな昆虫とか、庵野秀明が影響を受けてそうな顔のない真っ白な天使の集団とか、なんでこんなに不気味なモノって魅力的に映るんだろう。〈嫌だけど好き〉の相反する興奮がたまらない気持ちにさせる。

結局、時の支配者がなんなのか、よくわからないが、わからなさ具合もまた良し。