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ソルジャーブルーのmhのレビュー・感想・評価

ソルジャーブルー(1970年製作の映画)
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ベトナム戦争反対、アンチ西部劇、有色人種差別問題と包括しているテーマが重厚かつ広大なアメリカ映画のメルクマール。
アメリカ陸軍が行った「サンドクリークの虐殺」を正面から描いている。
オーソドックスな西部劇からスタートするあたりが確信犯。男勝りのヒロインは、価値観をひっくり返すという意味において、これ以上ないキャラ造形。
共産主義的とも取れるので、マッカーシズムでやられたひとが絡んでたりするのかと思ってググったけど、製作スタッフのイデオロギーは偏ってないみたい。
ベトナム戦争反対の世界的ムーブメントは、いまじゃちょっと想像にしにくい部分があるよね。
あたまの硬い指揮官(老害)の決断が、虐殺を呼びこんだことも描写してあった。「若いやつに任せていたら世の中どうなるんだ……」という何げない彼のセリフがじわじわこわい。
ただ逆説的に、「間違いを起こすのは年寄りで、あとからそれを正すのが若者」みたいな受け取り方も可能になってて、つくづく深い。
インディアンは頭の皮を剝ぐというプロパガンダの由来もやばかった。そもそもは白人たちがそれをしたからお返しされている。戦争の大義名分をぐらつかせせることにも成功している。
リクルート試写のみで上映された135分版は、これよりももっと残虐だったとのこと。もしそのまま上映してていたら「炎628」に並ぶ傑作に数えられていたかもしれない。まーたらればいったらきりないけどね。
Wikipediaの「サンドクリークの虐殺」の項目は読んでおくべきすね。やってることがほんとひどい。
面白かった。
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