ゆっきー

ヴァニナ・ヴァニニのゆっきーのレビュー・感想・評価

ヴァニナ・ヴァニニ(1961年製作の映画)
4.5
メロドラマ。貴族社会にウンザリしている貴族の娘が、地下組織の活動家をかくまい恋をする話。スゲーベタであり、ロッセリーニはなにも特別なことをしていないように見えるのだが、ただただ傑作。愛に生きる女と、個より世界をとる男の話だ。

セット、コスチュームにもなんの手抜きも抜かりもない。箱庭のような舞台が素晴らしい。レンツォ・ロッセリーニの過剰な音楽も、ネオレアリズモ作品には正直合わないが、この映画にはぴったりくる。

ラスト、死刑台に送られる男と、激情のまま走って修道院に駆け込む女は、異常に遠景で撮られる。
半開きになった修道院の扉の向こうから、俗世である画面手前を一回振り返る女のラストカットが鮮烈!
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