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ラングーンを越えてのHKのレビュー・感想・評価

ラングーンを越えて(1995年製作の映画)
3.6
新政権が誕生しましたね・・・ということで、これは米女性ローラ・ボウマンがミャンマーで体験した実話に基づく作品なのだが、ジョン・ブアマンといえば川で、代表作『脱出』(72)はド田舎怖いという話ではない。野蛮人は自然のメタファーで、これもそう。夫と息子を強盗に殺害されたパトリシア・アークエットは心の傷を癒しに来たはずのミャンマーで、折からのクーデターの動乱で追われる身となり車で川に突っ込む。そして自分を取り戻すべく冒険の、真の意味での旅に出るのだ。当時のミャンマーが報道されないことに怒りを覚えたブアマンのジャーナリスティックな作品でありつつひとりの女性の成長物語である本作は、なんの理由かこちらでは公開されなかった。カンヌで評価され、こちらの雑誌で取材もされた(川口敦子さんによる)にも関わらず。傑作とまでは言わないが、この機会に是非観て欲しい秀作である。
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