爆裂BOX

踏み切りの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

踏み切り(2006年製作の映画)
3.8
踏切内で車を止めると、衝突事故で亡くなった子供の霊が車を押し、その手形が付くという都市伝説がある町に越してきたメラニーはその真相を探ろうとするが…というストーリー。
「スクールバスの悲劇」として今尚アメリカで語り継がれる都市伝説を題材にしたオカルトサスペンスホラー。本当にそんな都市伝説あるんですかね?調べてみても本作の情報しかヒットしないけど…
かつて子供達を乗せたスクールバスと列車が衝突する悲惨な事故が起き、今ではその踏切内でギアをニュートラルにすると子供達の霊が車を押すという都市伝説がある町に越してきたメラニーは、姉クリスタルや友人とその都市伝説を試した日から白い服の少女の姿や、血文字のメッセージを見るようになる。彼女は事故の真相を探ろうとするが、という内容です。
序盤はリハビリを終えて田舎町に引っ越した家族の元を訪れたメラニーが地元の高校で姉の友人の一人と親しくなっていったり青春ドラマを描きながら、姉や友人達と都市伝説を試した日から白い服の少女が目の前に現れるようになったりとオカルト物として進行していきます。といっても子供達の幽霊がすることは踏切内で止まった車を押して踏切から出してあげるという親切な行いなので怖い存在ではないんですよね。といっても、天井や鏡に血文字が出たり、ベッドの下から出てきた手に腕を掴まれるシーンはちょっと怖いです。
そのままオカルト物として進行していくかと思いきや、中盤からは車掌姿の謎の殺人鬼が人殺していくスラッシャー物へと変化していきます。これを一粒で二度美味しいと捉えるか、逆に散漫になったととらえるかは人それぞれですが、個人的には面白かったですね。主人公が霊からのメッセージをもとに過去のスクールバス事故の真相に迫っていくサスペンス展開も上手く作ってあると感じられて楽しめました。後、ほんのちょっとだけですがエロ描写もあります。
殺人鬼がカップルを襲って鉄槍で身体を串刺しにしたり喉に突き刺したり、剃刀でアキレス腱を切り裂いて体を切りつけたりと意外と残酷な描写もあって画的にも地味にならない工夫も良かったですね。少女の唇を糸で縫い付けていくシーンは痛々しくて強烈でした。
メラニーは彼氏に勧められるまま一緒にヘロインをやって、オーバードーズで彼氏は死んで自身も死にかけた過去があり、それ故に周囲の理解や信頼を得られにくい設定も上手いですね。そして死にかけて死に近づいたためか、霊が見えるというのもいい設定だと思います。しかし主人公の母親はいくら過ち犯した過去があるとはいえ、主人公の事全く信用してない鬼婆で結構イラつかせるキャラです。特に学校で血文字を見たと騒ぎになった晩の食事時に、父親に身体押さえつけさせて薬物検査の為に無理やり主人公の髪切るシーンや、姉の危機に警察署から逃げ出して家に戻った主人公追い掛けて髪引っ掴んで「一生部屋から出さないからね!」とヒステリックに騒ぎながら部屋に閉じ込めるシーンは怖すぎました。
メラニーを演じたリー・パイプスは中々かわいい子でしたね。姉クリスタルを演じた女優もすらりとした長身美人でした。見た目は姉の方が若いけど(笑)ルー・ダイアモンド・フィリップスが主人公のスクールカウンセラーを務める教師役で出ていますが、活躍することなくアッサリ退場しちゃいます。
クライマックスに明らかになる事故の真相考えたら、冒頭の事故映像はミスリードしすぎというか嘘つき過ぎじゃないかという気もしますが、まあ、あれはあくまで町に伝わる噂を映像にしたという感じかな。犯人の正体は予想通りだったけど、そのキチ×イぶりは結構強烈で良かったですね。倒したと思ったら再び現れて鉄槍で車のフロントガラスバンバン叩いたり、ガラスや車の上からグサグサ刺してくる暴れっぷりは見応えありました。メラニーも結構反撃して強い所も良いですね。
最後は因果応報ではあるけど、これ出来るなら子供達の霊はもっと早くできたんじゃないかと思いますね。普通に犯人この町に住んでたわけだし。
ラストは蛇足な気はしますね。というかアンタも成仏せずにいたんだ(笑)後、鬼母が死なずに台詞だけで処理されたのも不満かな。
B級ながら掘り出し物と言っていい良作オカルトサスペンスだと思います。