ハレルヤ

カントリー・ストロングのハレルヤのレビュー・感想・評価

カントリー・ストロング(2010年製作の映画)
3.8
かつて人気を博したカントリー歌手のケリー。アルコールに溺れて施設に入るも、治療して退院し再起を賭けたツアーに出る。マネージャーでもある夫と前座で同行する若手の歌手たちとの様々な人間模様を描いたヒューマンドラマ。

パッケージとあらすじを見たら、明るさのある王道の音楽ドラマかと勝手に思っていました。しかしその内容は思っていた以上に重いもの。主人公であるケリーが退院後も心に闇を抱え続けていて、情緒不安定な姿が多くを占めます。

名声を得たけれどその一方で孤独で愛情に飢えている面もあり、アルコールに逃げるようになって、自身もそれを今も克服出来ないでいる。

そんなケリーをグウィネス・パルトローが文字通りの体当たり演技で見せてくれます。そして歌声も素晴らしい!ライブでの姿は本業歌手と言われたら本当に信じそうなほどの仕上がり。

ケリーをプライベートとビジネスの両面で支える夫ジェームス役にはカントリーミュージック界の大御所ティム・マッグロウ。彼の存在感もなかなかだし、ケリーの前座歌手であるボー役のギャレット・ヘドランド、チャイルズ役のレイトン・ミースターも抜群の歌で魅せてくれました。

複雑な人間関係もあるし、ラストも後味の良いものではありません。結構ヘビーでしたが、そんな作風に劇中のカントリーソングの数々が絶妙にマッチします。

日本だとカントリーソングにはあまり馴染みはありませんが、聴いてみると結構日本人好みの琴線に触れるようなメロディーの良さを持った曲も沢山あります。あの今じゃ世界トップレベルの女性歌手テイラー・スウィフトも最初はカントリー歌手でしたし。

劇中でのケリーの台詞である「愛と名声は同時に得られない」これが本作の核を表していると思います。スターの表舞台と知られざる裏側。それをしっかりとリアリティを持って描いていました。

日本では勿体ない事に未公開作でしたが、音楽も含めてなかなかの良作なので、是非ご覧になってほしい一作です。
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