くりふ

カントリー・ストロングのくりふのレビュー・感想・評価

カントリー・ストロング(2010年製作の映画)
3.0
【めそめそグウィネスのうた】

グウィネス・パルトロウさんが、ある事件でネガティブ・スパイラルに陥るカントリーの女王に扮した劇場未公開作。ご本人が歌っているそうで、けっこううまいと聞いたので、みてみました。

確かにうまいけど…やっぱり声量など、純なプロより聞き劣りはしますねえ。女王の復活話なので、復活お披露目が一番の聴かせどころになるわけですが、そこがちょっと…。

演出側も気づいたのか、じっくり聴かせるというより、名場面集のような演出にして、ピークをサラッと流しちゃってるんです。それでも一見の価値はあると思いますが。ソロでCD出す力はあるわけだし。彼女の資質だと思いますが、バラードの方が耳に優しい感じがしましたね。

お話はまず、カントリーの女王自身に難ありでした。めそめそし過ぎ!(笑)あまりに困ったちゃんです。なぜそこまでめそる? が最後までわからない。なんか山崎ハコとか歌いそう。古いか。鬼束ちひろ? いやもっと湿っぽい。こんなふうな、実在のカントリー・シンガーがいたのかな?

はじめはドラマとしてきちんと組まれているな、と思ってみてたんですが、そのうち、人物が紋切り型から出ないことが分かってきて、息苦しくなる。で、結末はペラかった。未公開になっちゃったのは、そのへんが原因かな?

あと、主要人物どうしがすぐ交尾しちゃうのもペラい(笑)。皆で姦鳥ー。このことで、ちょっと面白い三角関係が作られては行くんですけどね。

少しよかったのは、冴えなかった『トロン・レガシー』を挽回するような、ギャレット・ヘドランド君の野性味と陰影。三角関係の「交差点」となる男。彼も自分で歌っているようですね。優しさ含みの振幅ある男、でなかなか。

と、野心持つのにあがり症、な新人歌手を、レイトン・ミースターが憎演(笑)。もう生意気で、はじめは拳突っ込んだろか! とか思ったのですが(冗談です)、ずっと見てゆくと、なかなか頑張り屋さんで、終盤は見直しちゃいました。

(彼女、実の両親が元・麻薬の運び屋で、自分は獄中ベビーだったという、修羅雪姫みたいな生い立ちなのだとか。なんだかガッツを感じますわ)

だから、ベテランと新人との、対比の面白さは少し出ていますね。若い観客をかなり意識して、作られたんじゃないでしょうか。レイトンちゃんは『ゴシップガール』で知られているそうですし。

そのへんが、似た者映画の『クレイジー・ハート』と違うところですね。私には、クレイジー~の方がみ応えありましたけれど。

DVDに、サントラ盤の宣伝があったんですが、正直、サントラで満足できたら、映画はみなくて大丈夫かもしれません(笑)。私もそちらの順番の方がよかったなあ、とか思っちゃいました。でもCDのレンタルはないんだよなあ…。折角、じっくり聴きたいのに。タイトルの「カントリー・ストロング」はじめ、いい曲揃ってるんですが。

<2012.1.23記>
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