HK

夕陽の用心棒のHKのレビュー・感想・評価

夕陽の用心棒(1965年製作の映画)
3.5
ジュリアーノ・ジェンマのマカロニ・ウェスタン・デビュー作です。
当時の芸名はアメリカ人っぽくモンゴメリー・ウッド。
本作の他『荒野の1ドル銀貨』『続・荒野の1ドル銀貨』などもウッド名義でクレジット。
本作はアメリカで大ヒットしたレオーネ×イーストウッドの『荒野の用心棒』の翌年公開でこちらもヒットしながら日本では劇場未公開。私は中学の頃TV洋画劇場で観ました。

ジェンマはイーストウッドやフランコ・ネロなど髭面でむさ苦しく寡黙なマカロニ主人公の中にあって、口八丁で手八丁(ガンさばき)の爽やかイケメン路線で差別化、ボクシングや器械体操で鍛えたスマートな外見と身体能力で当時の若い女性ファンも獲得し、異名は“マカロニの貴公子”。

ジェンマ(当時27歳)演じる“リンゴ”、正義より金のために敵組織に潜入するアンチヒーローと思わせといて・・・というキャラもやっぱり元は黒澤の『用心棒』が原型ですかね。
メキシコ人の山賊はマカロニ好きなら必ず見たことある常連悪役フェルナンド・サンチョ。(実は昔、同じく太っちょのバッド・スペンサーと区別がついてませんでした)
今回あらためて観ると、本作はマカロニにしては凝った展開、主要キャラの中に女優が2人いるのも珍しいような。

ところでこの邦題、マカロニ・ウェスタンの多くの例に漏れずメチャクチャいい加減。
西部劇だから荒野とか夕陽とかつけときゃどこかにそんなシーンあるだろう、用心棒やガンマンの一人や二人出るだろうという超アバウトな命名。

原題は〈伊:Una pistola per Ringo 英:A Pistol for Ringo(リンゴの拳銃)〉。
2年後にはほぼ同じスタッフ・キャストで原題〈伊:Il ritorno di Ringo 英:The Return of Ringo(帰って来たリンゴ)〉が公開されてますが、その作品の邦題はというと、なぜか『続・荒野の1ドル銀貨』。
ですから『続・荒野の1ドル銀貨』はむしろ本作『夕陽の用心棒』の続編であり、『荒野の1ドル銀貨』の続編では無いということです。ああ、ややこし。

監督は『続・荒野の1ドル銀貨』『荒野の大活劇』などこの後もジェンマと何度も組んでるドウッチョ・テッサリ。
音楽はエンニオ・モリコーネ。
コーラスや妙な楽器の合いの手が入ったいかにも初期のモリコーネ節が聴けます。
HK

HK