最高のオープニング・シークエンス。いきなりBGM無しの殺人シーンで始まる。雨の音、ドスの音、荒い息遣いだけが響く中、汽笛が鳴ったと同時にタイトル・イン。 電光石火の如きスタートに思わず胸が高鳴るが、映画自体のピークもここまでだった...。本編の七割近くを回想に費し、現在に戻ってからも天知茂のエピソードがグダグダ足を引っ張る冗長な脚本。シンプルな復讐劇にすれば良いところを変に欲張ったからこうなる。雪、血、煙、汽車。ストーリーそっちのけでこれでもかと繰り出される加藤泰美学。演出が過渡期に入ったのはこの頃からか。