イチロヲ

宇能鴻一郎の濡れて立つのイチロヲのレビュー・感想・評価

宇能鴻一郎の濡れて立つ(1976年製作の映画)
3.5
新しい門出に色めき立つ新妻(東てる美)が、意固地な性格の夫(久保剛)を牽引するべく、新居の建設計画を推し進めていく。若い新妻の孤軍奮闘ぶりを描いている、日活ロマンポルノ。

「幸せな家庭を築きたい!」という切なる気持ちが、女を武器にした無自覚的な行動を引き起こしてしまう。処女の頃の主人公をスタート地点に、夫を知る新婚生活から、夫以外を知る愛人関係へと、セックス劇が発展していく。

主人公の夫が亭主関白の典型であり、妻に対して怒鳴り散らすところに生理的嫌悪を覚える。夫が痛い目に遭わされる、ザマーミロな展開が用意されているけれども、改心するわけではないので、何とも居心地が悪い。

しかしながら、今現在おいても問題提起されている、「別居婚の是非」に落とし込んでいく展開には溜飲が下がる。「恋愛の延長線上を維持させるための夫婦生活があっても良いじゃない」という着地点に先見性が感じられる。
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