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ことの次第のadeamのレビュー・感想・評価

ことの次第(1981年製作の映画)
2.0
コッポラとの映画製作での実経験を基にしたヴェンダースの金獅子賞受賞作。
ポルトガルでのSF映画撮影中に資金とフィルムが底をつき、プロデューサーは行方をくらまし、なす術なく暇を持て余すスタッフとキャストたち、そして監督の姿を描く物語です。
前半の閉塞感と倦怠感は観客にもこの状況を疑似体験させようとしたのなら成功だと思いますが、ただ退屈な時間になっている印象は否めず、監督がもっと何とかしようと奮闘した方がどうにもならない状況の不条理さは際立った気がします。
終盤でようやく監督が意を決してからは面白くなりましたし、ラストシーンも素晴らしく印象的でしたが、やや説教臭くも感じてしまいました。
人と人の間に生まれる空間が映画でありリアリティだという主張はヴェンダースの作品を観れば十分な説得力を感じられるものの、それを作中の映画論議で語らせるのは何よりそのメッセージから遠ざかる表現手法ではないかと思いました。
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