爆裂BOX

烏 カラスの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

烏 カラス(2007年製作の映画)
3.6
アメリカの田舎町。保安官ウェインは早朝の緊急呼び出しでバックマン牧場に急行するが…というストーリー。
凶暴化したカラスの群れが田舎町の住民達に襲い掛かるショーン・パトリック・フラナリー主演の鳥系パニックホラーです。紛らわしいタイトルは「鳥(トリ)」ではなく「烏(カラス)」です。
冒頭で牧場の主人が襲われる以外は前半は人が襲われるシーンが少なくて地味で冗長ですが、本格的にカラスの襲撃が始まる中盤から後半にかけては盛り上がりました。
カラスは大群シーンではCG使ってますが、アップでは本物のカラス使ってるので襲撃シーンでは結構迫力ありましたね。運転手と生徒たちが避難したスクールバスの窓を小石を放り投げて割ろうとしたり、主人公達が籠城したガソリンスタンドの周囲の電球を体当たりで次々と割って暗闇を多くしたりとカラスらしい狡猾さも見せてくれます。犠牲者の肉を食いちぎって啄むシーンはありますが、直接的なグロ描写は少ないかな。椅子に座った死体の周りに集ってその肉を啄むシーンは中々エグイ。カラスが一話だけ「ガアガア」騒いでると思ったら何時の間にか背後や周囲にカラスの群れが集まってる不穏さはいい感じでした。
中盤の町中でカラスの大群に襲われるシーンはそれまで人通りがあったのがカラスの襲撃になると主人公達以外いなくなってて、襲撃が終わった後住民がぞろぞろ出てきたのは残念だった。「逃げ回る住民たちがカラスの大群に次々襲われる」というパニック映画ならではの描写欲しかったですね。
一方的に襲撃されるんじゃなくて、人間側もショットガンバンバン撃って戦う攻防戦になっているのも良いです。終盤のガソリンスタンドでの籠城戦はハラハラできました。
ショーン演じる妻とともに街を引っ越す為最後の任務の日に大騒動に巻き込まれる保安官は主人公だけどそれほど目立った活躍はしてなかったような。スティーヴン・マクハティ演じる気難し気で人間嫌いっぽいけど根は良い人なスクールバス運転手はイイキャラでした。最後の自己犠牲も。この人とスタンドの女店主の関係性ももっと詳しく知りたかったですね。この運転手にやたら突っかかる生意気な女の子が生き残ったのは意外。後、鳥パニックの元祖ヒッチコックの「鳥」の主演ロッド・テイラーが老検視官役で出演していて、チョイ役かと思ったら結構活躍して最後まで残るのも意外でした。
キリスト教メノナイト派の人たちが出て来て物語に深くかかわってくるのは珍しくて面白い。アーミッシュに似ているけど、彼らの方が源流のようですね。
「鳥」は鳥達が凶暴化した原因は一切不明のままでしたが、こちらは一応原因が明かされます。でもラスト見る限り本当にあれは正しかったのか…?
ラストは呆気ないですが、鳥系パニック映画の中では良作と言えるのではないでしょうか。