青二歳

蛙になったお姫さまの青二歳のレビュー・感想・評価

蛙になったお姫さま(1954年製作の映画)
4.4
ロシア民話をアニメーション化したソ連時代の作品。自由主義陣営の日本ではハリウッドのプロパガンダに染まっているのでソ連=暗黒時代のように思いがちだけど、表現豊かで生き生きとした作品が実は多い(´∀`)もっとレンタルで取り扱って欲しいですねぇ。最寄りのTSUTAYAは海外アニメってディズニーとピクサーだけだもんなぁ…

魔法使いにその身を蛙に変えられたお姫さまが結婚した王子と幸せになるお話。グリム童話“蛙の王子さま”に比べたら遥かにまともな童話です。
「結局人間は中身じゃなくて見た目よね」という教訓にもならん教訓は同じですが、グリム童話読後の「なんだよこの話!」のような怒りは湧きません。
妻となった蛙の真の姿(美人しかも若い)を見て現金にも恋に落ちた王子が、妻を取り戻さんと苦難の旅をするのがいいです。この男つくづく現金だなとは思うけど、結局「人間やはり見た目よ」という話ですし、ちゃんと試練を乗り越えて妻を得るというのは貴種流離の英雄譚を思わせるし、蛙の姿も妻乞ひの受難と見れますし、グリムの“蛙の王子さま”みたいな素っ頓狂な話ではなく、後半は結構ドラマチックです。
とはいえ…ツッコミどころは多数ではあります。まぁそこは…童話だし…

アニメーションはとにかく美しくて素晴らしいですね。様々な効果が試みられているのでそれだけでも見応え十分。“赤い花”や“金の鍵ブルチーノの冒険”といい、このころソビエトアニメはセルアニメーションで光彩を入れるのがブームなんでしょう。その演出の中でも一番好きなのが今作の織物のシーンと、王子とお姫さまのダンスシーン。夢がある。あとどうしてソビエトアニメは音楽性がずば抜けているのか。見事です。

ババヤガー(バーバ・ヤーガ)…ロシアで山姥といえばこの方。好きですね〜ロシアやまんば。笑っちゃうから名前どうにかして欲しい。あと三頭のドラゴンの迫力のなさも好みでした。
また王子の冒険道中の森に熊が出てくるんですが、メルヒェンの世界のクマと違ってロシアだといくら可愛くてもなんだか恐いと感じてしまう。いやロシアだとクマをペットにしてたりする(!)から…ロシアはリアルメルヒェンの世界なのか。
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