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ハイリスクのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

ハイリスク(1995年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

爆弾処理隊員のリーは、ドクターと名乗るテロリストが仕掛けた爆弾を解除出来ず、目の前で妻子を殺されてしまう。数年後、彼はアクションスター、フランキーのボディガードとして働いていた。ある日、フランキーが招待された宝石展に同行することになったリーは、再びドクター率いる悪党集団の宝石展襲撃に巻き込まれる…。

近年のアクション映画はCGばかり。
スタントマンや俳優の心配をするほど危険で身体を張ったアクションを見たくなってセレクト。
90年代、最速最強だったジェット・リー(当時は本名のリー・リンチェイ名義)は、史実に登場する武術家を演じることが多かった。
デビュー作の少林寺の他、黄飛鴻と方世玉のシリーズなどジェット・リーのカンフーは一通り見たつもりだったが、こんな現代劇に出ていたとは。
ツッコミどころは満載だが、香港映画ならではのコテコテの笑いとド派手な演出を詰め込んだアクションの佳作である。

オープニングからいきなり過激。
テロリストが学校を占拠し、人質の子どもが乗ったバスを問答無用の大爆破。
身代金目当てか?個人的な怨みなのか?
テロリストの目的が良く分からない。

この事件で妻子を殺された爆弾処理隊員リーはこの事件をきっかけに退職。
妻子の仇を取るには仕事にしがみつくべきでは?
挫折と傷心は分かるのだが。

リーが守るフランキーはジャッキー・チェンのように吹き替えなしのアクションを売りにしているが、実は危険なスタントは全てリーにやらせるヘタレ人間。
そして衣装や動きはブルース・リーだ。
香港映画の神様2人を徹底的にパロったようなフランキーだが、演じるジャッキー・チュンの愛嬌ある演技のおかげで、憎めないキャラクターとなっている。
挫折した過去を持ち、悲壮感のあるリーと好対照である。

ある日、高級ホテルで行われた宝石展示会をドクター率いるテロリストが襲い、招待客全員が人質に取られる。
スマートに犯行を行う気はないのか?
ホテル従業員を片っ端から銃殺するのには呆気に取られる。
偶然、展示会に招待されていたフランキーとリーは運良く人質にならずに済み、テロリストに反撃を開始する...といった「ダイ・ハード」な展開に。

本作のジェット・リーは持ち前の華麗なカンフーをほぼ封印。
ビル内に突入して、火だるまになりながら走り回る車を操り、香港ノワールのようなド派手なガン・アクションを展開。
彼の素早い動きは、敵の銃撃を避ける際に発揮される。
縦横無尽に飛び回り、弾が全く当たらないのは都合が良いが、ジェット・リーの速さなら「有り得る」と妙に納得させられる。
クライマックスにリーが警察ヘリを拝借してホテルに突っ込む爆破シーンは圧巻だ。

人質に取られたマスコミや刑事の活躍もあり、相方のお笑い担当のフランキーがスケベなヘタレ人間から、父親を救うために勇敢に変化していく様も面白い。
偽りのアクションスターが現実の格闘でヒーローになるのは、意気地なしが一念発起する様に似て胸が熱くなる。
ラストにはリーが冒頭と同じ爆弾解除に再び挑み、解除を成功させる絶妙な伏線もある。

まるっきり香港版「ダイ・ハード」だが、パクリでここまでやるのはある意味立派。むしろ、ここまで笑いとアクションのエンタメ要素を詰め込むとは、さすがヒットメーカー、バリー・ウォン監督、さすが香港映画と言えるだろう。

あれだけ人が死ぬのに、下ネタとお気楽ムードの笑いが難点だが、何も考えずに見るには充分な娯楽作品。
コテコテで旨味油コッテリの中華料理フルコースを食べた後味である。
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