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ホムンクルス/新種誕生のhorahukiのレビュー・感想・評価

ホムンクルス/新種誕生(1997年製作の映画)
3.3
金持ちパパvs金持ちパパ!
可愛い4人の赤ちゃん(ジャケ)を巡り「あの子達は俺のものだ!」とか喚き散らして、金持ちのおっさん同士がイチャつきながら剣を振り回して戦うコメディホラー。

何が一番ビックリしたかっていうと、このジャケで1997年の映画だってこと。WHDにしては画質が良いなと思ってましたが、まさか『タイタニック』とかと同じくらいの映画だなんて!

あらすじ…
汚水処理場で見つかった奇形児の死体を医療標本センターのババアがその道のコレクターの金持ちおっさんラザールに高値で売却。すると、もうひとりの金持ちコレクターロルカが嫉妬。手下にラザールを襲わせ強奪。ラザールがババアと探偵と秘書を連れてロルカの城に行くと、標本たちが動き始め…。

最高に面白いアホ映画。
金持ちおっさん2人は、「標本を奪った!いや奪ってない!」の言い争いをしてるのですが、結局どちらがコレクターとして上の存在かを巡った、側から見たらどうでも良いバトルになっていくわけです。

封鎖された城で登場人物たちが奇形児のモンスターたちに襲われる恐怖を描いた作品(のはず)なのですが、なかなか良い見た目にも関わらず割とモンスターたちは空気。そんでこの金持ちおっさん2人が「私がパパよ!一緒に暮らそう!」と言ってモンスターたちの気を引こうと必死になる姿がアホらしくも楽しい。挙げ句の果てに、剣を振り回したおっさん同士のバトルがクライマックスの見せ場になるというね。

しかもこのバトルも何の躍動感もないゆっく〜りしたバトルで笑えます。城の中で振り回してるので周りの物に当たりそうになるわけですが、おっさんたちは頭おかしいコレクターなので、コレクションに剣が掠ると「おい!💢」と怒ったり「すまない…」と謝ったりするわけです。剣を振り回してバトってるとは思いない緊迫感のなさが最高に楽しいです。

モンスターたちの造形もなかなか凝っていますし、直前までホルマリン漬け?されていたのでとってもジューシー。人形なんですけど、それなりに可動域があり結構動くので低予算ながらもそこそこお金かかってそう。しかも動き始めるや否や本を読んで言語を即座に習得するという天才ぶりを発揮したり、銃を乱射したり、寝ている女性の布団に入り込みおっぱいを飲もうとしたりと、生まれてすぐの赤ちゃんにしては超高スペック。将来有望ですな。

この赤ちゃんたちも大人たちを多少襲ったりするんですけど、基本的には大人が勝手に自滅していくのでそういうところもアホらしい。本当は大人たちのオモチャにされる子どもの悲哀的なところを描いた社会派方面にもできた作品だと思うのですが、アホらしさに全振りした作風がブラックな笑いを提供してくれるナイスな珍品でした!
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