ユミコ

ワッツタックス/スタックス・コンサートのユミコのレビュー・感想・評価

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1972年、真夏。60年代にアメリカのワッツ市で起こった暴動事件「ワッツ暴動」を記念してLAのコロシアムに10万人以上の黒人が集結し、6時間超の大規模フェスが行われた。ウッドストックの黒人ver.と言われるらしい。その模様と黒人の方々の思い、心境を語ったコメントを混じえたドキュメンタリー。ご出演は皆、黒人で、スタックスレコード所属のアーティストたち。
黒人の方々のコメントは、初めて聞いた気がしない。大抵ブルース、ソウル、ゴスペル系の作品では皆同じ事を語る。超有名な大物であっても、一般の方々であっても。ゴミクズ同然に扱われ、差別されていた事…。しかし現代に近づけば近づく程それは薄れていったのは幸いな事。明らかに差別意識やしがらみ、敵対心は消えゆく方向に向かっている気がする。黒人の命さえ軽視する程の偏見を持つなど恥ずかしいくらいにまで。
黒人以外のアーティストというのは、全エネルギーを出し切ってパフォーマンスをするように見えるが、黒人の方々というのは、十分パワフルであるにもかかわらず、まだまだパワーを出しても出しても出し切れていない程の有り余るパワーの持ち主と思う。

ステージはブラックならではの魅力に溢れ、濃厚で重厚、こってりべっとり、エグエグ、時にしっとり。乾いてない。楽しみだったルーファス・トーマスおじさまの、ショッキング・ピンクに近いカラーのコスチュームには驚ガク…!笑 以前、ルーファス様が、短パンにスニーカー姿でステージに立っていらしたと聞いた事があったけど、半信半疑だったのが、これでもう完全に信じる事が出来たというもの。前後するけど、ランス・アレンさんて私知らなかったけれど、ハイトーンで目の覚めるような唄声だったなぁ… 種類は違うけど、ウィルソン・ピケット様のライヴ映像を初めて観てあの声を耳にした時と同じくらいの衝撃だった。トリはアイザック・ヘイズ様。彼クラスにもなりますと、お車で現れ、ステージに横付けw 「待ちに待った我々全てのブラザー、ワル中のワル、牧師には言えない… 」とユーモアを混じえながら紹介された。アイザック様は、全てゴールドで決め込んでいらして、ラストに相応しい風格と歌で輝かしいトリをつとめられた。
ここまで濃ゆいフェスはそうそうお目にかかれない。全てブラックのオーディエンスが駆け寄り、一斉にダンスを始めたシーンは圧巻。
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