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苦役列車のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

苦役列車(2012年製作の映画)
5.0
1986年。日雇い労働生活を送る19歳の青年、北町貫多(森山未來)。稼いだお金もお酒に消えて家賃滞納の日々。
そんなある日、職場で新入りの専門学生、日下部正二(高良健吾)と知り合い意気投合、初めて他人と友達らしい付き合いをするようになる。
やがて貫多は日下部に協力してもらい、秘かに想いを寄せる古本屋の女性、桜井康子(前田敦子)とも友達になることに成功、思いがけず人並みの青春を謳歌し始めるのだったが…。
私小説作家・西村賢太の第144回芥川賞受賞作を、森山未來主演、山下敦弘監督で映画化した青春ドラマ。
社会の底辺に生きる不器用な青年の恋と友情を巡る屈折した青春模様を赤裸々かつほろ苦いタッチで綴る。
共演は高良健吾、前田敦子。
皮肉屋でコンプレックスまみれでやさぐれた貫太を森山未來がナチュラルにユーモラスに演じ、堅物で友情にあつい貫太の親友を高良健吾が自然な演技で演じ、先が見えない日雇い生活の中で同世代の親友や異性の友達と不器用に絆を育てながら、孤独を埋めていく過程を、緻密な日常描写を積み重ねる中でリアルに描いていて、新しいテイストの青春映画の傑作として、楽しめました。
特に、終盤の貫太が親友や仕事をなくして初めて真剣に原稿用紙に向き合って小説家になろうと決意する展開は、心が熱くなりました。
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