膝の皿

苦役列車の膝の皿のレビュー・感想・評価

苦役列車(2012年製作の映画)
4.2
汚く酷い唯一無二の傑作青春物語。
原作よりも大衆向けに作られてはいるが、それでも西村賢太の空気が充満していて、それがなにか心地良いような気もして、数年に一回は観たくなる。
良い人との出会いに直面しながらもそれを台無しにしていく貫多のクズっぷりと、そのくせなにか寂しそうで自業自得な姿が哀愁を孕んでいて、なにがあっても絶対に友達にはなりたくないけど、側から見てると少し愛おしくも感じてしまう。
森山未來始め俳優陣もみんな素晴らしい。

原作者西村賢太はこの映画を気に入っていなかったらしいし、なんとなくまあだろうなあとも思うけど、個人的には原作もこちらの映画も両方大好き。

この映画で気になったら是非西村賢太さんの作品もいっぱい読み漁ってほしい。もっと汚くて酷くて花がなくて哀愁があってめちゃくちゃ魅力的な文章ばかりだから。だからこそ奇しくもらしく感じる死に方をしたのが悲しい。
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