たまこ

苦役列車のたまこのレビュー・感想・評価

苦役列車(2012年製作の映画)
3.0
山下監督あっぱれすぎる!!!
この人の描く「絶望」が私の心を癒してくれると同時にすごく辛くなる。なんだろう、予防接種って感じ(笑)

森山未來演じる北町寛多は、読書量が多いからか語彙力が豊富だと感じた。読書をすることで自分を見ないように逃げているタイプの人。彼自身はプライドばかりが高すぎて世間の人を見下す癖がある。
私は友達にこんな人が居たら嫌。偏屈ですごく嫌な奴。でも、憎めないところがある。お父さんが性犯罪を犯して世間から迫害を受けた悲しい過去を持つ面もあるから。

最初から最後まで「絶望」って感じ。最後の机に向かう寛多の後ろ姿で終わるところは橋口監督の「恋人たち」に似てた。どちらとも取れる。絶望か希望か。

いや~ 高良健吾もマエアツもいい味出してたな~
にしても、未来は天才、、、。
北町寛多が李相日監督の「怒り」の未来が演じた役と似すぎて個人的にウケました。

この映画を観た率直な感想としては、「自分は○○だ」って卑屈に捉えて自分の殻に閉じこもることはすごく楽だし、そんな捉え方は何年経っても己から働きかけなければ変わらないんだって思った。
「いつかは変われる、俺はあんな風にはならない。まだ若いから。」と思ってどうにかその場凌ぎで生きていくにしても時の流れは残酷でいつかはバカにされる立場になってしまう恐ろしさ。若さでは自分が優位に立っていたはずが、そのまま時が流れて、若さが自分から無くなった時に何が残るか。
そう考えたら、何もなくなった寛多は「自分自身」と向き合うしかない。しかも彼には膨大な読書量がある。ってことは彼は非常に可能性に溢れた物書きになるのかもしれない、って思った。ま、願望なんだけどww

本当に見てよかった~~~最高な日曜☆
たまこ

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