シズヲ

傷だらけの用心棒のシズヲのレビュー・感想・評価

傷だらけの用心棒(1968年製作の映画)
3.8
どっちかっつうとフレンチ・ウエスタンな気もする復讐劇マカロニ・ウエスタン。冒頭からセピア色の情景に始まり、何処かノワール的な仄暗い演出が光る。フラメンコ調のBGMや殺伐とした絵面が生み出す渋いムードが良い味を出してるし、役者が見せる無言の表情も哀愁に溢れていて秀逸。終盤の悲恋、その果ての決着と末路の虚しさにも心を掴まれる。

本作は旦那を殺されたヒロインの存在感が素晴らしい。美しい風貌と大きな目が見せる鋭い眼差しが強烈な印象を与えてくるし、冷徹な復讐に身を捧げた悲壮感にもグッと来る。主役も渋い顔立ちながら目付きは穏やかなのがヒロインと対照的で面白い。銃を抜く前に手袋を嵌める所作もクール。

ただ肝心の早撃ちがカットによる編集頼りなのは惜しい。主役も決して味が無いわけではないけどインパクトに関しては正直ヒロインに負けている印象がある。欠点は少なくないものの、ほろ苦い哀愁を纏っている魅力的な佳作だ。
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