囚人13号

追跡珍名場面集/ザ・グレート・チェイスの囚人13号のレビュー・感想・評価

3.8
正直、この手のアンソロジー集は大好物。

始まりはやっぱり『大列車強盗』、"追跡"こそ映画の緊張感とドラマを盛り上げる絶好の要素だということにいち早く気づいていた彼だが知名度は意外と低い。その後は初期のグリフィス短編『東への道』クライマックス、ダグラス・フェアバンクス、連続活劇、お宝映像が目白押し。特にパール・ホワイトやルス・ローランドといったスターたちの作品には大感激、淀川氏の著書にあった通り!絶対助からないのに「次回に続く」笑。個人的に一番嬉しかったのはウィリアム・S・ハートが見れたことかな。
しかし本編中、一番尺をつぎ込んでいるのはやっぱキートン大先生の『将軍』、「追跡映画」と聞いてすぐ思い浮かぶのだから当たり前だけどしかし何回見てもスゴいな。天才的な運動はもちろん、実は喜怒哀楽の激しい動作がストーンフェイスとの齟齬を生み出している。戦略的な笑いを分析しても面白いものは面白い。最初に紹介された『大列車強盗』と比較するように後半で出てくる『将軍』の両作をこうして見比べると、凄まじい進化が一目瞭然だが、観客の求める娯楽性もより豊かになっていることに気づく。
その娯楽性の原点こそ"追跡"にあるのだというメッセージが本作に込められている気がして、それが偏っていることは確かでも目の付け所が素晴らしいな。

とはいえ紹介されている作品数は10本くらい。
囚人13号

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