高校生まで冴えない過ごし方をしてきた主人公が野心を持ってアートスクールに入るものの、芸大独特の文化や恋、自身と他者との評価のずれに悩んでいく。
ゴーストワールドの原作者、監督が再タッグを組んだ作品であることを
鑑賞後に知った。
眉毛が鑑賞中を通して見慣れないくらい濃く太く、
また性格も相まって共感・愛着を持ちづらい主人公だった。
登場するキャラクターのいずれも、
「芸術関連のコミュニティにはこういう人っているよね」という
毒の込められた視点での人物像の作り込みが感じられる。
思わず笑ってしまうような皮肉あり、
自己愛の強い、もしくは強かった時代を経た人間からすると
過去の傷を抉られるようなリアルな描写あり。
関係あるようでないようで、と本筋に少しずつ絡んでいた
大学近辺の殺人事件や恋の行方さえ、皮肉に満ちた結末が待っていて
口の端を歪めながら脚本を書いていたのが目に浮かぶよう。