ルサチマ

バード★シットのルサチマのレビュー・感想・評価

バード★シット(1970年製作の映画)
5.0
なんだなんだ!トンデモナイ映画だ。
ここまで破綻したアメリカ映画を見たことないが、しかしこれこそが求めてたアメリカ映画だ。群像劇を見事な手捌きの編集で語る手腕、70年代アルトマンはちょっと格が異常。これがベスト。

下手くそな歌声の合唱シーンからどうかしてたが、その後物語を進める鳥の糞まみれの死体という素晴らしいサスペンスの予感をさせといて、出てきた刑事はなにも役に立たないどころか、最後は拳銃自殺。
カーチェイスも最初見事なユーモアを含ませたハラハラドキドキだったのにいつのまにかノロノロ。
この映画は首尾一貫してクソを目指している。
伏線回収というような見事さはハナから放棄されていて、いかに全てを乱雑に扱うかを理想としてるようにしか思えない。

冒頭の車椅子おじさんによる破茶滅茶な街の移動と破壊(死)を見れてテンションを最高峰に持っていかれてしまった。
この映画ではオカシイ現象をオカシイものとせずに放置する。コメディにおいて僕が一番美しいと思うこの混沌の形だ。そこに出来事などないのであり、周りの人間だけが勝手に喚くだけ。

誰かに雇われるか、誰かに乗せてもらうことでしか車=横の移動を獲得できなかった少年が、最後の瞬間ついに翼を得て縦の動きを獲得した瞬間、鳥の鳴き声さながらに汗かきながら喚く音だけが空間に嫌な音として響き渡る。もちろんそれが一瞬の快楽でしかないことを承知の上で涙出た。

ようやく人として愛した女にはいとも簡単に裏切られ、別の男とキスしてるところを見つめてしまうとこ、人生。夢を共に見つめ、愛し続けていた女は最早やることはないと去っていく。

そして最後のサーカス団の入場とともに行われるキャスト紹介。拍手👏

P.S.映画とは関係ありませんが、日常生活で鳥の糞を3回浴びたことのある人は変なヤツって設楽統が言ってました
ルサチマ

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