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ゾンビの怒りの猫脳髄のレビュー・感想・評価

ゾンビの怒り(1973年製作の映画)
2.5
年末年始ユーロ・ゾンビ特集6/7~スペイン編①

スペインメイドのゾンビ映画といえばアマンド・デ・オッソリオ「エル・ゾンビシリーズ」(1973~75)かホルヘ・グロウ「悪魔の墓場」(1974)あたりが代表格だが、後者は鑑賞済み、前者はまだ機会が得られない。仕方ないからというわけではないが、ユーロトラッシュの帝王こと、ポール・ナッシーのハッタリ・ゾンビを取り上げる。

ブードゥー魔術を駆使してゾンビを使役するインド人って、何か根本的な勘違いがあるような気がする(※)。舞台は英国。毎回異なるマスクをかぶった怪人が、とある一族に絡む女性たちを次つぎと手にかけ、ゾンビとして意のままに操るという筋書きで、ナッシーは得意のコスプレで3役をこなす。

元重量挙げ選手でズングリムックリなナッシーがまあ女性にモテて、すぐ手を出しちゃう。お色気シーンもなんだかネットリしていて、ナッシーの職権濫用なのではないかと勘繰ってしまう。肝心の女性ゾンビ軍団は、メイクはプレーンながら顔芸で攻めてくる。何でも得物にして人を襲うが、空き缶のフチをギリギリ押しつけて殺そうなんて、さすがに見たことない。

セットもおざなりで、クライマックスの儀式シーンですら、殺風景な部屋をテキトーに飾り付けただけ。段ボールに落書きしたようなマスクを被った登場人物には唖然とする。さらにはお前誰だっけというほど意外な人物がすべてを持って行ってしまうというオチには呆れてしまう。緩急のないダラダラした展開が苦痛で、ナッシーのコスプレ以外は見るべきところがない。

ところで、1973年当時のスペインは、末期とはいえフランコによる独裁政権によるの厳しい検閲下にあった。60年代からスペインでもホラー映画が盛んに製作されるようになったが、弾圧の対象にならなかったのは興味深い。

※ブードゥーの発祥を「西インド諸島」と説明しているが、まさかね…
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