こんな戦争映画ははじめて!
第1次世界大戦中に、フランス軍兵士が軍事裁判によって理不尽に処刑されるという実話をベースにした反戦小説「栄光への小径」を下敷きに描いたキューブリック監督作品。
序盤は『西部戦線異常なし』をコピーしたかのような臨場感で塹壕戦を描く。
あ~良くある戦争映画ね。ちょっと斜に観始めたけれど、ところがところが…
後半は全く違ってくる典型的な二部構成だった。
戦争のそっち側を描くんだ~と気付けば前のめりで観てた。
カーク・ダグラスがめちゃくちゃいい!
そして、予想を裏切る容赦なさ。
単純で薄っぺらいカタルシスなんて当然用意されてない。
もっともっと奥行きがある。余韻もある。戦争の虚しさも愚かさもしっかりある。
戦争映画は悲惨さを直球で描くか、愚かさを笑いに変換するか、或いは全く外側から哀しさを描くか。描き方は様々。
個人的にこの角度からのアプローチは初めてだったので、なんとも新鮮!刺さる!
ただ、間違いなく素晴らしい反戦映画に違いないけど、キューブリック印の作品かと言うと…。
因みにキューブリックの異常なまでの完璧主義は初期のこの頃から発揮されており、今作に於いてのテイクの数も撮影期間の長さも然り。
となると当然カーク・ダグラスとの折り合いも良くなかったらしく、彼の有名なキューブリック評は、
「(キューブリックは)才能あるクソッタレだ!」とのこと。