KnightsofOdessa

突撃のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

突撃(1957年製作の映画)
4.5
No.327[下っ端切りで疲弊する社会へ] 90点

ただでさえ兵士が足りないのに無駄に軍歴だけ長い阿呆の戯言のせいで味方の兵士を殺すことになるなんて話は、無駄に勤務歴だけ長い無能な経営陣の戯言によって末端の社員がリストラされる現実に似ているのかもしれない。最近の経営陣の無能による事件だと、下らない権力闘争の結果生まれた(らしい)セブンペイ事件が記憶に新しいが、あれによって担当していたSEたちがリストラされるといった感じか。そして、現実にはバスク・グランのように無能な指揮官を射殺した上で流れ弾に当たったと処理できる人間(まぁ彼は錬金術師だが)はおらず、士気を上げることにも気を引き締めることにもなんの影響も及ぼさないどころか"自分は自国にすら大切にされていない"という思いを抱かせる下らない見せしめ裁判を展開することで、名誉と権力にしか興味のない勘違いジジイたちは棺桶に両足突っ込んでも尚生き延び、未来ある若者は銃弾に倒れる。

牢獄のシーンは窓からの光の入り具合とか完全に『処刑の丘』や『絞首刑の森』がパクった感じ出ていて感動した。塹壕視察シーンのドリーショットも最高。裁判のシーンとかも上手いっちゃ上手いけど、後年の作品と比べるとメッセージ先行で見劣りする感じは否めないが、クリスティーヌの上手いとも下手とも言えないドイツ語の歌が、やがて兵士たちの大合唱になるラストに全てが詰まっている。傑作。
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