半兵衛

狼男とサムライの半兵衛のレビュー・感想・評価

狼男とサムライ(1983年製作の映画)
2.5
狼男映画でスペインで一世風靡したポール・ナッシーと天知茂による癖が強すぎる日西合作映画。日本人スタッフが多数関わっているためか時代劇設定にぶっ飛んだところが少ないのは嬉しいし、チャンバラシーンも結構あるし、ドラマもそれなりにまとまっているけれど…正直天知さんが製作に関わってまで作る価値があったかというと微妙。なんせ映画の語り口が冗長で飽きがくるし、肝心の物語が破綻していて変なところに着地するため困惑することに。

一族にかけられた狼男の呪いに苦しめられているのに観光していたり日本人女性とイチャイチャするナッシーが変、その一方で終始シリアスな芝居を続ける天知茂が真面目すぎて少し可哀想に(でもアップのときは得意のしかめ顔で凄い決める)。

狼男のメイクは『狼男アメリカン』や『ハウリング』と同時期の作品とは思えないくらい古くさい、そしてゴアシーンが80年代にしてはショボい。でも狼男視点で人間を襲う場面は結構迫力があった。

トンデモ設定として女性の兵士が裸に鎧を着るという格好で登場するのにびっくり、でもコスプレとしてはありかも。

ちなみに海外版のDVDではポール・ナッシーのインタビューが収録されているが、肝心の天知茂に借金して踏み倒そうとした話はしておらず自分の作った狼男シリーズがチャン・イーモウ『LOVERS』に影響を与えたなど大言壮語なことばかり話している。やはり海外との合作は角川春樹や徳間康快のようなしたたかで図太いプロデューサーじゃないとやっていけないのね。

エンディングに何故か池波志乃と天知がデュエットした曲が流れてくる。
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