イチロヲ

アウト・オブ・ブルーのイチロヲのレビュー・感想・評価

アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)
4.0
家族崩壊の危機に直面している思春期の少女が、パンク精神の昂りを実感しながら、家族の再生と反骨を倒錯的に滾らせていく。ニール・ヤングの楽曲「Hey Hey, My My(Out of the Blueバージョン)」から着想を得ている、青春ヒューマン・ドラマ。

元々はデニス・ホッパーを招聘したTV特番だったのだが、出来栄えに不満を覚えたデニスが現場の指揮を執り、自分のカラーに染め替えたという逸話あり。精神性こそヒッピーからポストパンクへと移っているが、根幹部分はヒッピー映画と大同小異。

主人公の不良少女は、アル中の父と薬物依存の母をもち、大人に反骨を覚えている立場となって登場。飲酒運転で人身事故を引き起こした父(デニス・ホッパー)が、5年間の服役を終えて出所してくるのだが、負の方向にしか転がらない現実を見ることになる。

「家族の再生」をアメリカン・ドリームに見立てると、そのままアメリカン・ニューシネマの延長線上になることがよく分かる。同時期に製作された青春映画「タイムズ・スクエア」との併映を妄想するのが良策。
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